もう、風が冷たさを帯びてきた。ステージ上の旗をはためかせる風が、BAYCAMPの熱を冷まそうとしているかのようだ。
だけどPLANT STAGEの上にはTHE JERRY LEE PHANTOMがいる。
ジャキジャキしたギターの音が、クリアなキーボードの音が胸に響く。ベースとドラムの重低音が、そして小井出 永の歌声が混ざり合って、爆ぜる。どこか静かに、そして淡々と、爆ぜる。
そんなエネルギーとセンチメンタリズムの同居。確かにリズムは四つ打ちのシンプルなダンスロック
だが、聴く者の血液を沸騰させるかのような情熱と、心の奥に触手を伸ばしてくるような力強さが四人の演奏から溢れていた。
「We Know We Gotta Move」「This Boring Rock」「Sad Song」どこまでも静けさを内包した激しさが響く演奏が続く。
そうかと思えば「STARMAN」ではストレートに疾走する。どこかちょっとポップなメロディーを澄ました顔して歌い上げる。硬質な印象のサウンドとこのメロディーが気持ちよくマッチする。
続く「The Clash」では、観客が飛び跳ねてそのリズムを楽しんでいる。
跳躍、手拍子、振り上げられる腕に会場はどんどん発熱していく。
「Everyday Everynight I Need You」では細萱あゆ子の歌声が響く中、小井出が飛び跳ねて観客を煽る。ステージ上の照明も、それまでとは打って変わって煌びやかに明るく、カラフルなものに変わり、会場の雰囲気を一変させた。
朝を迎える前のラストは「Music Lovers」と「Freedom」。会場が完全に一体化して応える。
白く明るい照明が照らす中、硬質なビートとウォーミーなメロディが合わさって、会場の熱狂はピークに。深夜のPLANT STAGEに”ここでしかない”一体感を作り上げて、THE JERRY LEE PHANTOMのステージは幕を閉じた。
撮影:後藤壮太郎
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