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『叙情派エレクトロ・ダブ・バンド』と称される「あらかじめ決められた恋人たちへ」。

既に深夜1時を回り、肌寒さを感じるようなFREE THROW DJ TENTに登場したメンバーは、激しいドラミングから演奏をスタートした。

 

オレンジ、赤、青、そして再びオレンジと怪しく光る照明の中、大歓声に包まれて「View」を演奏。

池永正二(track・melodion)が激しく体を揺らしながら観客を盛り上げる。

ダブを基調とした独特のリズムに観客は思い思いに体を揺らし、その音楽に浸っていた。

 

「ラセン」ではその表情を一変させ、激しく攻め込むようなビートを刻む。アップ・テンポで疾走感のあるビートに、池永正二の鍵盤ハーモニカの音色が飛び乗ると、”叙情的”な不思議な雰囲気を作り出す。

中盤、ギター・ソロではへヴィーなロックの色を描き出して見せたかと思えば、再び鍵盤ハーモニカの音色が、その色を塗り替えてみせる。

 

「Rise」ではグルーヴィーなリズムとベースラインに、鍵盤ハーモニカのメロディーが混じり合い、クリテツのテルミンも、楽曲になくてはならないアクセントとして、また異なる色を乗せる。

これほどまでにさまざまな色を魅せ、かつ美しくまとめられるバンドが他にいるだろうか?

あら恋のそんなスタイルとリンクしてか、観客の楽しみ方もどこか”自由”を感じる。それぞれが思い思いに体を揺らし、決してシンクロはしていない。だが会場には不思議な一体感が漂う・・・

2015年FREE THROW DJ TENTのステージの中で、『異彩』を放ち、且つ圧倒的に自由なアクトだったと言えるだろう。

 

ラストの「前日」まで、力強さと繊細さが入り混じったような演奏を見せ、一切のMCをせずに音の会話のみで、駆け抜けるようにステージを終えた。

 

彼らの去った後のステージには、鮮烈な印象の残り香とでも言えるような、何かが漂っているように思え、決して消えない鮮烈な印象を残したステージだった。

 

撮影:大橋祐希

テキスト:LikeDis

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