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太陽は既に落ち、すっかり夜。

だが『BAYCAMP2015』は熱気に溢れ、観客はまだまだ新たな音楽・響き・感動を待ちわびている。

そんな午後19時45分、ついに謎のヴェールに包まれたバンド「街の底」がその正体を現す。

この「街の底」というバンド名、あるバンドが2015年5月に発表した楽曲名と全く同じ。

「そうだろ?」「そうなの?」といった期待を胸に、FREE THROW DJ TENTに集まった観客は、

ライブ開始前からステージ前を埋め尽くしていた。

そしてステージ上に姿を現したのはやはりeastern youthの面々。

「やっぱり!」とでも言うかのようにステージの方へ集まる観客達。「我々あの、はじめまして。我々、みなさんを盛り上げる為には演奏いたしません。生きる為に演奏します。」という吉野のMCから、演奏がスタート。始まった1曲目はやはり”あの”「街の底」。胸に響く重低音、照明に浮かび上がるのは命の叫びとも思える音像。「生きる為に」と語った冒頭のMCを思い起こさせる。

間髪空けずに「沸点36℃」。トレードマークとも言える歌唱とも絶叫とも言えるような吉野のボーカルワークは、この「街の底」というバンドでも健在で、その心地よい歪みに観客はどんどんと引き込まれていく。MCもそこそこにチューニングを済ますと「細やかな願い」「いずこへ」と演奏は続く。

そしてラスト「たとえば僕が死んだら」では冒頭から激しく体を動かし情熱的な演奏。「たとえば僕が死んだら そっと忘れてほしい」この歌詞の一節を、魂からしぼり出したような叫びで歌い上げる。死をテーマにしたこの詩から、激しい「生」を感じる、少し不思議でもある体験を味あわせてもらったステージは、吉野の「おしまい。」という静かなひとことで幕を閉じた。

 

撮影:大橋祐希

テキスト:LikeDis

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